11月1日は「諸聖人の日」。イタリアの祝日である。
カトリックでは「諸聖人の日」は、文字通り全ての聖人をたたえて祈る日だ。
ところがプロテスタントでは、聖人ではなく「亡くなった全ての信徒」をたたえ祈る日、と変化する。
プロテスタントでは周知のように聖人や聖母や聖女を認めず、「聖なるものは神のみ」と考える。
聖母マリアでさえプロテスタントは懐疑的に見る。処女懐胎を信じないからだ。
その意味ではプロテスタントは科学的であり現実的とも言える。
聖人を認めないプロテスタントはまた、聖人のいる教会を通して神に祈ることをせず、神と直接に対話をする。
権威主義的ではないのがプロテスタント、と僕には感じられる。
一方カトリックは教会を通して、つまり神父や聖人などの聖職者を介して神と対話をする。
そこに教会や聖人や聖職者全般の権威が生まれる。
カトリック教会はこの権威を守るために古来、さまざまな工作や策謀や知恵をめぐらした。
それは宗教改革を呼びプロテスタントが誕生し、カトリックとの対立が顕在化して行った。
カトリックは慈悲深い宗教であり、懐も深く、寛容と博愛主義にも富んでいる。
プロテスタントもそうだ。
キリスト教徒ではない僕は、両教義を等しく尊崇しつつ、聖人よりも一般信徒を第一義に考えるプロテスタントの11月1日により共感を覚える。
また、教会の権威によるのではなく、自らの意思と責任で神と直接に対話をする、という教義にも魅力を感じる。
ならば僕は反カトリックの男なのかというと、断じてそうではない。
僕は全員がカトリック信者である家族と共に生き、カトリックとプロテスタントがそろって崇めるイエス・キリストを敬慕する、自称「仏教系無神論者」である。