叫ぶRonaldo

ポルトガル旅行中に、サッカーのスーパースター・ロナウドが、40歳になんなんとしてまだ同国代表チームを引っ張っていることを知ってちょっと感動した。

以後、気をつけて彼の動きを追いつつ、2024年度の欧州選手権を眺めている。

好きなチームのイタリアが、みっともない負け方で消えるべくして姿を消した後、スペインが4-1でジョージアを下す戦いを見た。強い。うらやましい。

イタリアに違いを演出できる選手がいないように、スペインにももはや偉大なシャビやイニエスタはいない。ペドリとヤマルという若い才能は出ているが、圧倒的な力量を誇った前者の2人の域には達していない。それでも強いのはなぜか。

フランスはベルギーを下したがエムバペはまだ輝かない。怪我のせいだろう。

ベルギーは近年FIFAのランクでトップクラスに入るなど進境著しいが、ルカクが沈んだ状態では、いくら主将のデ・ブライネが頑張っても、フランスには追いつかない。

フランスのゴールはオウンゴールだったが、オウンゴールは相手に攻め立てられた守備陣がパニックになって犯すミスだ。従って、攻めるフランス側から見れば通常ゴールに匹敵する重要な成果だ。

フランスはイタリアと違ってことしも強いのだ。

ポルトガルはスロベニアを相手に延長まで戦い、ペナルティキックを得てロナウドが蹴った。だがキーパーに阻まれた。

それをロナウドの力の衰えと見ることもできるが、次のペナルティキック戦で最初に蹴ってきっちりと決めたのは、驚愕の精神力だ。

PK戦では、キーパーのディオゴ・コスタが、ロナウドを助けようとでもするかのように圧巻の3連続セーブ。離れ業が利いてポルトガルは順々決勝に進んだ。

試合中にPKをはずしたロナウドが PK戦のトップに登場してゴールを決めたのは、なんでもないことのように見える。だが実はそれは、先に触れたように、驚異的なことなのだ。

心理的なプレッシャー尋常ではない中で、先頭に立ってPKを蹴り見事にゴールを奪ったのは、彼の強靭な克己心の表れだ。それだけでもただのプレーヤーではないことが分かる。

そうはいうものの、しかし、ロナウドの衰えはやはり隠せない。

なぜなら彼はそこまでにチームでトップの20本ものシュートを放っているが、まだ一つも決めていないのだ。全盛期のロナウドからは考えられないことだ。

ロナウドは準決勝進出をかけて7月5日にフランスと戦う。そこを勝ち抜けば、ポルトガルはあるいは2016年のように欧州選手権を制するかもしれない。

2016年のポルトガルの初制覇は、ロナウドがほとんど一人で勝ち取ったようなものだった。

彼は決勝戦では怪我のため途中退場したが、そこまで圧倒的なパフォーマンスを見せチームの精神的守護神となってついに優勝をつかんだ。

ことし、もしもポルトガルが選手権を勝ち取れば、ロナウドはこれまでの伝説的なキャリアにさらにに華をそえるだろう。

そればかりではなく、2年後のワールドカップにも41歳で出場するなど、さらなる偉業を成しとげる可能性もある。




facebook:masanorinakasone