右上から俯瞰中ヨリ800

1968年8月20日、ソ連はチェコスロバキアに軍事介入して民主化運動「プラハの春」を蹂躙した。

5ヵ月後の1969年1月19日、ソ連の蛮行に抗議して20歳のカレル大学学生のヤン・パラフが、プラハきっての繁華街ヴァーツラフ広場で焼身自殺した。

広場には彼の写真付きの記念碑とシンボリックな人型のモニュメントが設置されている。

地面に浮き彫りされた人型モニュメントには不思議なオーラがある。だが、道行く人のほとんどはそこに目を向けない。

中国による天安門事件、香港抑圧、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルによるガザへ虐待など、世界にはプラハの春弾圧とそっくり同じ構図の事件が間断なく起きている。

プラハの人々は苦しい過去を語りたがらない。忘れたい思いとソ連が黒幕だった恐怖政治へのトラウマが未だに消えないからだ。

プラハの魅力に惹かれて街を訪れるおびただしい人群れもヤン・パラフのことなど知らない。

そうやって世界は、いつまでも愚劣で悲惨な歴史を繰り返す宿命から逃れられずにいる。



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