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イタリア・ベルガモ国際空港発のRyanair便で、ギリシャ・クレタ島への旅を計画した。

ベルガモ空港はイタリア随一のLCC(格安航空)のハブ空港である。格安大手のRyanairが、彼らの専用空港かと見まがうほど多くの旅客機を飛ばしている。

出発の日、そのRyanairの到着便一機の車輪が破裂して滑走路が破損。空港が全面閉鎖になった。朝早い時間の事故だったため大混乱。

129便がキャンセルされ、2万1千人が足止めを食うことになった。

ブリュッセル経由でクレタ島ハニアに向かう予定だった僕らのLCC便は、空港で10時間近く待たされた挙句にあえなくキャンセル。

事故は仕方がないが、欧州のいまいましいビジネス慣行で、客への真摯な説明はほとんど無かった。

特に格安航空便の場合は、機内食を無くしたり預け荷物を制限したりの合理化を徹底した上に、インターネット予約を活用して人件費を思い切り抑えているため、客対応がお粗末だ。

僕らは空港で早朝から夕方まで待たされた上に、ブリュッセル行きとクレタ島行きの2便が欠航になったが、そのことの説明はどこにもなかった。

たまたま僕が、何度もカウンターを行き来しては案内に訊ね、事態を確認するうちに知った情報なのである。

僕らは同じ日の旅は諦めた。だが、クレタ島の宿やレンタカーは全て予約済みなので、妥協せずに旅行代理店に相談した。

すると一気呵成に翌日の航空券を確保してくれた。改めてプロの仕事振りに感じ入った。

最近はネット仕様で旅の計画を立てることも多くなった。今回のクレタ旅もそうだった。だが問題が起こると立ち往生したり、解決のために右往左往することも多い。

時間の浪費がいちばん腹立たしい。

4月のフランス旅行でも、往路の便が突然キャンセルになる「事件」があった。

だがその旅では事前のホテル探しがうまく行かなかったので、航空券も含めて今回緊急にチケットの手配を頼んだ同じ業者の手にゆだねていた。

おかげでキャンセルにもすぐに対応して翌日の便を確保し、ホテルも一日分先に延ばす対応をしてくれた。

インターネットは便利な一方で、七面倒くさい操作が多々あり、習熟していないと時間を潰されることも少なくない。

若者ははなからスマホやネットに慣れている。若いからではなく、それが時代の流れだからだ。それに習熟しなければ彼らは生きていけないのである。

片や老人は、それが無くても生きていけるが、習熟しない場合は時代に取り残されるか否かの選択を迫られることになる。

人の歴史は、神代の昔から常に今を生きる若者と時代に取り残される老人の命題を背負って綴られてきた。目新しいことは何もない。

もはや老人世代に突入しつつある僕は、時代に取り残されるのは嫌だが、時代に追いつくために残り少ない人生の時間をムダ使いするのも癪だ。

時間の浪費また精神衛生上の悪影響という負の局面と、時代に取り残され嘲笑されることのデメリットを天秤にかけてみると、僕の場合は前者のほうがはるかに大きい。

特に時間の浪費は避けたい。

それなので、今後も多いはずの旅の準備対応は、多少の出費を覚悟の上で、以前のように旅行代理店の世話になろうかと考え出している。

それはほぼ常に、格安航空ではなくFSC、つまり従来の航空会社の便に乗ることを意味する。

ネットで旅行計画を練ることが当たり前になった今この時になっても、旅行代理店はしっかりと存続している。

そこには必ず理由があるのである。