Pope-Francis-and-Xi-Jinping-

フランシスコ教皇の葬儀が無事に終わり、バチカンは次の教皇を選ぶ選挙、コンクラーベの日取りを5月7日開始と定めた。

世界中から集まる133名の枢機卿が、バチカンのシスティーナ礼拝堂に籠もって秘密選挙を行う。

清貧を力に教会を改革し世界14億人の信徒の敬愛を一身に集めた第266代フランシスコ教皇に一点の曇りがあるとするなら、それは彼が長く対立していたバチカンと中国の和解を実現させたことだろう。

中国はカトリック教徒を弾圧していて国が認めた教会以外での礼拝を禁じている。

バチカンはそのことなどを主な理由に1951年から中国と国交を断絶している。

フランシスコ教皇は就任以来、その状態を改めて関係を修復しようと努めた。

そして2018年、司教の任命はバチカンと中国政府がそれぞれの関与を認め合う、という形で合意し和解した。

それはフランシスコ教皇が、中国に約1000万人いるとされる信者との結びつきを回復したいと願ったからである。

そうすることは教会の分断を食い止めるという信仰上の大義にも叶った。

だが信徒が共産党の権威に挑戦するのを防ぐため、「宗教の中国化」を掲げてカトリックへの締め付けをエスカレートさせる、習近平指導部と折れ合うことへの批判もバチカン内には強かった。

しかし対立よりも協調を重視しようとする教皇の強い意志によって、最終的には和解が成立した。

中国との関係では、フランシスコ教皇のロールモデルとも言える旧東欧出身のヨハネ・パウロ二世が、中国共産党を決して信用せず同国に厳しい態度で臨み続けたことと対照的である。

僕はその件に関してはどっちつかずの感慨を抱いている。

唯我独尊、反民主主義の独裁政権はおぞましいが、その悪とさえ対話し協調しようとする態度は千金に値する。

僕にはどちらの教皇の判断も正しいように見えるのである。



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