僕は高市早苗首相の動静を、ここイタリアのジョルジャ・メローニ首相と対比しながら監視してきた。
2人には大きな共通点がある。何よりもまずそれぞれが両国初の女性首班であること。両氏ともファシスト的な気迫の政治スタンスやメンタリティーを持つ右派政治家である点だ。
メローニ首相は、15歳でファシスト党の流れを組むMSIに参加し、活発な右翼活動家となった。
2012年には同じ流れの極右政党、イタリアの同胞を結成。その泡沫政党を率いて党勢を拡大させ、2022年総選挙で第一党に躍り出てついに政権を奪取。イタリア初の女性首相となった。
政敵にネオファシストとさえ批判されたメローニ首相は、政権樹立後は中道寄りの現実路線にシフトして、イタリアのみならず欧州全体でも一目おかれる「保守政治家」になった。
政治的にも極端な言動は鳴りをひそめ、対立する政治勢力を敵視するのではなく、意見の違う者として会話や説得を試みる姿勢が顕著になった。
そうした変化が可能になったのは、彼女がイタリアのトップとして統率力を発揮し、支持基盤であるイタリアの同胞に始まる極右モメンタムを抑えているからだ。
片や高市首相は、日本のトップとしての独立した強い権限や独自性はなく、自民党内の安倍残党歴史修正主義一派、日本会議、神社本庁ほかの祭祀陰謀団、また全国に蠢くいわゆる自称文化人やアカデミック層また芸能人などを含む、有象無象のネトウヨヘイト系国民によって操られるパペットであることが明らかになりつつある。
ふたりは元々かけ離れた右翼活動家ではある。ひとことで言えば、メローニ首相が明の右翼政治家、片や高市氏は陰にこもったキャラクターだ。
もっと言えば高市氏は自ら大いに右翼運動を担うのではなく、例えば安倍元首相に庇護されて四囲を睥睨したように威光を笠に着て凄むタイプ。
一方のメローニ氏は自ら激しく動いて道を切り開くタイプだ。
僕は先日、「高市首相は、独裁者気質のトランプ大統領や、極右とも批判されるここイタリアのメローニ首相もできない急カーブのファシスト街道を走りまくって、すわ!中国と開戦、というゴールに飛び込まないとも限らない」
と書いた。
すると高市首相は後日、あっと驚く「台湾有事は日本の存立危機事態」の国会発言をかまして、露わすぎるほど露わに自らの本性を激白した。
高市首相の―あえて大げさな意味合いで言うと―中国への宣戦布告じみた日本の存立危機事態発言は、彼女が仲間のネトウヨ人士らとの会合で気勢を上げるノリで口に出したものだろう。
高市早苗氏は、たとえ逆さに吊るして振り回しても“極右”という毒素しかこぼれ出ない政治家だ。
それでも日本のトップに押し上げられることで、政治的にも人間的にも成長するのではないか、と僕は密かに応援する気持ちでもいた。ここイタリアのメローニ首相がそうであるように。
だがそれはしょせん、大いなる無いものねだりだったようだ。
高市首相は英国のサッチャー首相に憧れていて、彼女のようになりたいと願うらしい。だが、それはあまりにも大それた願望だ。
岩盤支持層に操られるだけの彼女が、大化けにバケてここイタリアのメローニー首相の域にでも変貌できれば、上等以上に上出来だ。だが彼女はそこにさえ至らないようだ。
そうであれば高市首相は、近いうちに詰め腹を切らされる宿命だろうが、日本国民を戦争の崖っぷちにまで追い込んだ責任は重い。
