高市早苗首相の荒唐無稽&抱腹絶倒のスローガン「世界の真ん中で咲き誇る日本、また日本外交」が実現する可能性が高まっている。
それを示唆するのは高市首相支持率が最大90%にも上るという統計さえある若年層国民の存在である。
インターネット世代の若者らには、彼らより年齢がはるかに上の高市首相と共通の、反知性的な思考パターンがある。
昔日の日本の、あるいは昭和世代の親たちの、仕事第一主義、伝統的な家族形態への強い執着、努力の神聖視などの古い価値観が、SNSを通して共有され極大拡散されて、それらが日本初の女性首相となった高市氏の成功物語とも重なり、いよいよ若者受けするようになった。
若い世代が高市首相を慕う心理は、ごく自然に反中国感情とも共鳴し重層的に広がって、彼らはさらに興奮し激昂高揚 して我を忘れる。
若者は高市首相の台湾有事発言に対する中国の反発に、その意味を理解することなく、また理解もできないながら“衝動“反発して、高市首相の強硬姿勢を称えますます意気衝天する。
台湾有事発言を撤回しない高市首相の思い上がった態度を支えているのは、中国に対する優越意識であり嫌中国感情である。それは実は、経済大国になり従って軍事大国ともなった隣国への畏れと不安の裏返しに過ぎない。
日中の複雑な関係を天皇の赤子論に基づく胡乱な選民意識によって卑小化し、同国から朝鮮、さらにはアジア全体を侵略蹂躙した「暴虐日本の蛮人魂」は、極右カルト信奉者らのなかに今もしっかりと生きている。
故安倍元首相の虎の威を借りて、傲岸な態度で国会内を闊歩し睥睨していた過去からも判るとおり、高市首相には庇護者の力をバックにして威張り散らす傾向がある。
彼女が中国に居丈高になっているのは、既述の日本極右の専売特許である「中国からアジア全体蔑視主義」に加えて、アメリカという虎の威光を笠に着ての背伸びでもある。
彼女は日本の過去の加害の歴史を意図的に無視して、あるいは真にそのことに無知であるがために、天皇崇拝、靖国跪拝、日本会議抱擁、統一教会愛護、神社本庁恭順、また安倍晋三カルト神殿随順、 などの狂信的右翼ドグマに取り憑かれ、そのドグマの威光で中国を屈服させられると考えているように見える。
支持者の若者たちとそのアイドルの高市首相&取り巻き、また今述べた極右カルト勢力の全てには、戦争加害者の意識が完全に欠落している。
そしてもっとさらに現実を直視すれば、戦後の日本国民全体を金縛りにしている「我ら日本人はひたすら先の大戦の被害者」意識が、事態を一段と悪化させる。
戦争の総括を責任放棄したために、日本人はある時点から戦争の加害者であることを忘れて、自らを戦争の被害者と決め込み被害者意識の傷をなめることばかりにかまける性癖を獲得した。
戦後の日本人は老いも若きも誰もが、広島、長崎の原爆も東京空襲も沖縄戦の悲劇もひたすら被害者の目線で見てこれを嘆き、恨み、怒ってきた。
ではそこでの加害者は一体誰なのか。アメリカか?連合軍か?中国か?
断じてそうではない。
加害者は昭和天皇であり、軍部であり、岸信介を筆頭にする戦犯である。
戦前、戦時中に日本国民は誰もが戦争を称揚し、喜び、悪鬼となって敵を憎み、勝利に酔い、アジア侵略に興奮した。従って日本国民は誰もが加害者だったという考え方もある。
だが国民をそこに導いたのは天皇を中心とする権力機構であり軍部でありそれを翼賛した多くの戦争共犯メディアだ。
それでもやはり日本国民に罪があるとするなら、国民が国民自身の手で戦犯のただの1人も断罪しなかった痛恨の歴史だ。
米占領軍の意向で天皇が助命され、やはりアメリカの心算で戦犯との取引がなされて、日本の暗部の多くがアメリカによる日本支配のためのツールとして利用された。結果、仕置きの機会が遠のいた、というのは言い逃れに過ぎない。
なぜならば同じ穴のムジナ仲間だった日独伊三国同盟の悪鬼、ドイツを見てみればいい。それに続いた小悪魔のイタリアも凝視してみればいい。
彼らは、特にドイツは、日本がアメリカ主導の極東裁判だけで大戦の仕置きを終わらせたのとは違い、「ニュルンベルク国際軍事裁判」の後も徹底して戦犯を追及し処罰し総括した。それは2026年現在の、今も続いている驚くべきアクションだ。
またイタリアは、戦犯の格としてはいわば同国の昭和天皇であったムッソリーニを処刑し、彼の盲従者らの戦争遂行意志を根絶するために、敢えて遺体をミラノの中心広場の一つに逆さ吊りにして晒しものにした。
イタリアは大戦の途中でドイツと仲違いし連合国側に無条件降伏した後、ドイツに宣戦布告した。のみならず連合国側に味方したいきさつもあって、戦後はドイツのような厳しい戦犯追及はしなかった。
しかしドイツの徹底総括は、かつて彼らの仲間だったイタリアの良心も激しく揺さぶり続けた。ドイツの厳しい戦後処理は、ムッソリーニを処刑したイタリアの民衆の反ファシズム精神を刺激し伸張させて、やがて強固なものへと変貌させた。
ところが今日も戦犯の追及を続けているドイツにおいてさえ、驚いたことに近年は極右勢力が台頭している。それどころかイタリアでは、極右ともネオファシストとも規定されたりする政党「イタリアの同胞」が政権党になり、党首のジョルジャ・メローニ氏が首相の座に就いている。
だが日独伊の悪の枢軸を形成した3国のうち、戦前の全体主義勢力の陰湿な精神風土が残っているのは日本極右だけである。それはひとえに戦争総括の欠如と、その結果生じた「加害者日本」意識の消滅によっている。
戦後日本の最大の闇の一つが、雲霞のごとく湧き続ける歴史修正主義者の跋扈だ。高市早苗首相はその首魁なのである。
ヒトラーはヒトラーを知らなかったがドイツの極右はヒトラーを知っている。同じくムッソリーニはムッソリーニを知らなかったが、イタリアの同胞を筆頭にする同国の極右はムッソリーニを知悉している。だから彼らはヒトラーにはならず、ムッソリーニの轍も踏まないと僕は予測する。
たとえ彼らがそこに向かおうとしても、大戦を厳しく総括したドイツとそれに倣うイタリアの両国民、またその影響も受けて全体主義に立ち向かおうとする意志が強固な欧州全体の世論がこれを阻止するだろう。
日本の極右は日本軍国主義を知らない。わずかに知っていても歴史修正主義者の宿命で過去への反省がなく同じ轍を踏む可能性が極めて高い。
いま盛んに右カーブを切って燃えている若者たちは、日本がかつて巨大な加害者だったという戦争の実相を学校で習わなかったために、極右の醜顔を脱悪魔の仮面で覆って「強い日本を」と叫ぶ高市首相に魅入られている。
彼らは被害者である。だが過去を知らない危険で凶暴な被害者である点が憂鬱だ。
彼らはもしかするとごく近い将来、高い支持率に押されて独裁権を握る高市首相とファシズム勢力に加担して、中国に戦争を仕掛けるかもしれない。その時アメリカは、トランプ主義の流儀に則って自らの利益にならない仕事はしないと決め、日本を助けようとはせずにこれを静観する。
結果、日本は第2次大戦の轍を踏んで再び廃墟と化する。だが幸いにも民主主義を信奉するリベラル思考の国民が生き残って、戦場に行かず空爆やミサイル攻撃の難も逃れた権力中枢と軍部を徹底糾弾する。
国民は今度こそ戦犯の全員を断罪し、余罪を徹底追及し、殲滅する。そうやっていま現在のドイツとイタリアに近いメンタリティーの市民が繁栄する日本国が誕生する。
もしもそうなれるのなら、再び廃墟となる巨大な不幸を代償にしてでも日本は生まれ変わったほうがいい。
もっとさらに良いのは、しかし、言うまでもなく戦争が回避され且つ高市政権が崩壊して、ファシストの高市早苗首相が永遠に政治の舞台から去ることである。
だがその後は日本はやはり、忘れられつつある第2次大戦を必ず徹底総括して加害者としての自分を見つめなおし、せめてドイツまたイタリアのレベルにまで民度を高めて、真に世界に信頼される国家になるべきだ。そうなれば「世界の真ん中で咲き誇る日本、また日本外交」などと、痴呆じみた笑劇スローガンを言い募る必要もなくなる。
なぜなら日本が歴史修正主義者のいない国家に生まれ変る暁には、世界のほうが懸命に日本に擦り寄って来て、日本は嫌でも世界の真ん中に押し祭られて行くからである。
その観測が荒唐無稽という者がいるならば、僕はこう訊きたい。
かつての軍国主義の亡霊が、生霊となって体内に出現したのでもあるかのような荒ぶる高市早苗氏が、日本の首相にまで成り上がった荒唐無稽をあなたは一体どう説明するのか、と。
