高市早苗総理大臣
あなたが率いる自民党は単独で定数の3分の2(310議席)を超える316議席を獲得する歴史的な勝利を収めました。
選挙戦ではあなたは、旧統一教会との切っても切れない絆の隠蔽、裏金議員の公認問題、不都合な真実からトンズラするためのNHK党首討論欠席など、 汚い手段の数々を使ったと非難されました。
にもかかわらず地滑り的としか形容のしようがない圧倒的な勝利を収めました。
あなたとあなたの支持者はむろん大喜びですが、私は異様とも言える勝率と、あなたの支持者のキワモノ的に風変わりな熱気に大きな危機感を抱きます。
あなたはかつて次のような驚きの言動をくり返しました。
1.1994年10月、国会で当時の村山富市首相に「過去の戦争に関して周辺国に勝手に謝罪をするな」と発言。
2.1995年3月、「私自身は、戦争の当事者とは言えない世代だから、反省なんかしていないし、反省を求められるいわれもない」と衆議院外務委員会で言明。
3.2016年2月には、気に入らないテレビ局の「電波を停めてやる」という主旨の傲慢極まる発言もしました。
スパイやテロリストでもない限り日本を悪くしようと思う日本人はいません。あなたもあなたなりに日本を良くしようと思っている。
しかしあなたの歴史認識、特に侵略戦争を侵略と認めず、むしろそれは欧米の支配からアジアを解放する聖戦だった、とするのは日本極右の十八番そのものの詭弁です。
詭弁を信じて疑わない様子は、戦前、戦時中の天皇制ファシズム遂行者と何も変りません。あなたのやり方、哲学、また歴史認識や知識では、日本は破滅の道を行くしかありません。
あなたは日本 初の女性首相、という誉れを手に入れても本性は隠しきれず、しきりに誤った言動を繰り返しています。
冒頭に述べた誑(たぶら)かし電撃解散は言うまでもありませんが、台湾有事発言、円安バンザイ発言などの後では、お笑い芸人 への威圧発言もかましました。まるでフル稼働の嘘の製造工場のように賑やかです。
これまでの最大の失策である台湾有事発言を、あなたはおそらく、あなたの仲間のネトウヨヘイト系人種集団を前に気勢を挙げる時のノリでつい口を滑らせた。
一国のトップとしての自覚が皆無であることを白状したその発言は、取り下げるべきなのに、あなたはどうやらこれまたあなたの本性である、間違いを認めるどころか「糊塗するのが好き」な習癖によって、頑なにそれを拒否し続けている。
その姿勢は無意味に勇ましいあなたの極右仲間の、嫌中国族の琴線に触れて、毅然として勇ましい上にブレない、などの評価を呼んであなたはますます舞い上がりました。
レアアースほかの経済懸案を持ち出すまでもなく、あなたは外交的政治的に中国と友誼を結んで国益を追求するべきです。それなのに、悪たれ小僧よろしく相手への対抗心を燃やして、人々の敵愾心を煽っています。
しかもそれがあなたの考える「国益」なのですから何をか言わんやです。それは国益どころか、最終的には戦争への道です。
危険域にまで入っている円安への危機感もあなたにはなく、円安にはメリットがあると強弁してさらなる円安に見舞われても、やはり無責任体質の本領を発揮してこれを撤回しない、ということを繰り返しています。
だが経済を筆頭にするそれらの国内政策の課題はさておき、私が最も懸念するのはあなたの歴史修正主義体質です。
日本の加害を徹底否定する幾多の暴言からも分かる通り、あなたは無知かあるいは意図的にか、はたまた確信犯的な動機から歴史修正主義にでっぷりと浸って人生を歩み政治を行っています。
あなたは、あなたが師ともアイドルとも仰ぐ安倍晋三元首相の盲従者であり傀儡です。それはつまり危険な極右ナショナリストと同義語。また同時に、現在の日本の極右の主要な関心事に即して言えば、あなたはそのものずばりの歴史修正主義者です。
歴史修正主義者とは何か。
それはあなたが繰り返し行っている日本の侵略戦争否定、植民地支配の正当化、日本は戦争加害者ではなく「ひたすら被害者である」論など、歴史的事実についての客観的な証拠を無視あるいは改悪し、または捏造し否定するか矮小化して、自らの主張や国家に好都合な形に歴史を改ざんし解釈する者のことです。」
それらの歴史の歪曲者は、あなたとあなたの支持者また仲間、つまり極右カルト全体、もっと具体的には日本会議、統一教会、神社本庁、自民党安倍派などに通底するモメンタムのことです。
その勢力は安倍元首相の在任中に勢いを増し膨れ上がりましたが、彼以前の自民党右派代表の小泉、中曽根両首相時代にも密かにまた時には公然と顕われ膨らみ続けました。
その道のりは、戦争加害の歴史を自虐史観などと批判する極右勢力に国が屈服し、「日本は戦争の被害者」という側面ばかりをひたすら強調して学校で教える風潮を招きました。
そこで重大なことは、知識階級を含む日本国民の多くが、加害の歴史を「向き合いたくない過去」として捉え、そこから目を逸らした現実です。
日本国民は同じ敗戦国で加害者のドイツやイタリアが直視した、辛く厳しい過去から目を逸らして、「無かったもの」としてきたのです。
その結果、広島と長崎の原爆も、沖縄の惨劇も、東京ほかの空襲も全て「日本は被害者」の視点で見、語り、怒りを募らせてきました。
むろんそれは間違いではない。だがその加害者を日本の外に求める態度は間違っています。
なぜなら真の加害者は敵国ではなく国内にいたからです。それが昭和天皇であり、軍部であり、軍事産業閥であり、それらを翼賛して煽り立てたマスメディアです。
広島長崎の原爆も、東京の焼失と全ての凄惨な空襲被害も、沖縄戦も、むろん被害の歴史です。だがそれらは-恐れることなく直視しなければなりません-残念ながら因果応報でもあるのです。
原爆は理由もなくある日突然空から落下したのではない。
イスラエルの横暴がなければハマスは存在せず、ゆえに10月7日攻撃もなかった。またアメリカがイスラエルと共にアラブ諸国への敵対施策ばかりを遂行していなければ、ビンラディンによる同時多発テロも起きることはなかった。
同様に、日本が無謀な戦争を起こし非情な攻撃に狂奔していなければ、原爆投下もなかった。
日本は欧米を猿真似て近隣諸国を侵略し暴虐を重ね殺戮を続けた。市民を巻き添えにした、あまつさえ市民を標的にした無差別殺戮は、旧日本軍が敵に先んじて実践したものです。
結果、日本は世界の憎しみを買った。アメリカは真珠湾奇襲以降ふくらみ続けていた自国民の日本への怨みもそこに重ねて正当化し、深重な決断をした。それが原爆投下です。
原爆攻撃は言うまでもなく無差別殺戮であり戦争犯罪です。
だがその前には既に、日本軍による残虐な無差別攻撃があり戦争犯罪があったことを忘れてはなりません。
例えば日本軍の錦州空襲は人類史上初の、また重慶空爆はそれに続くさらに大規模な無差別攻撃だったのです。
日本軍によるアジアでの無差別殺戮と真珠湾攻撃、さらにそれに続く日米間の殺し合いを通して、日本兵の狂暴残忍な正体を十全に見てきたアメリカは、広島と長崎に非人間的な原爆を投下するのを躊躇しませんでした。
日本人は自らの被害のみを語る前に、加害の歴史をまずしっかりと認識するべきです。そうすることで国民全員を加害者に仕立て上げた昭和天皇と、その周りの軍人またファシスト群像、ジャーナリズムとは無縁の国家翼賛マスコミなどがはっきりと見えてきます。
それらの戦犯はアジアを侵略し、蹂躙し、住民殺戮を遂行した犯人でもあります。日本国民ではなく、それら天皇制ファシズムの追随者こそが戦争の責任者です。そして戦後の日本の痛恨かつ最大の問題は、国民自身が彼らを裁き断罪しなかった歴史です。
日本は昭和天皇、軍部、翼賛官僚また知識人層、軍需産業閥、翼賛マスコミを国を挙げて一度必ず断罪しなければなりません。それが成就するとき日本の被害者は救われ日本国自体も再生します。
日本と同じ鬼の道を歩んだドイツは既にそれをやり遂げています。
敗戦国のドイツは、戦後あざやかに暗い過去を克服して行きました。だがその歴史の歩みは戦後すぐに始まったのではありません。
1970年、ドイツがまだ戦争犯罪の後遺症で苦しんでいた頃、当時のウイリー・ブラント首相はポーランドのゲットー英雄記念碑の前でホロコーストの犠牲者のために献花をしたあと、 おもむろに大地に跪(ひざまず)いて黙祷し世界を驚かせました。
それを政治家のポーズとして捉えることもできますが、彼は「そこに立っているだ けでは十分ではないと感じ自然に跪いた」と追って述懐しました。その後の歴史は、彼の行為が偽善ではなく勇気あるものだった、として讃えています。
彼の真摯な行為は最大の被害者だったユダヤ人やポーランド人を始め、世界中の人々の憤懣を氷解させました。しかし、ドイツ国内の保守派は、今のあなたやあなたの極右仲間と同様に、ブラント首相の行為をやり 過ぎだ、屈辱行為だとして糾弾しました。
彼らは、跪く行為が敗北であり屈服であるという、暴力や戦闘行為に関連付けた考え方をしたのでした。しかしな がらブラント首相の行動は、前述したように、屈服や屈辱の表明ではなく、ドイツが世界から許されて先の大戦の汚濁の中から立ち上がり、再び誇りと尊厳を取 り戻すきっかけを作ったのです。
ドイツの保守派が歴史の事実を受け入れて改心し生まれ変わるまでには、それからさらに時間が必要でした。
ブラント首相の跪座から15年が経った1985 年、つまり第2次対戦の終結からちょうど40年後、当時のヴァイツゼッカー独大統領は、終戦記念の議会演説で「歴史を変えたり、なかったりすることはできない」「過去に目を閉ざす者は、現在に対しても盲目になる」という表現で、ドイツの戦争責任やホロコーストと率直に向き合うよう国民に求めて、世界を感動させました。
戦後40年の節目に行われたその講話で、さらに大統領は「非人間的な行為を記憶しようとしない者は再び同じ危険に陥る」「戦争が終わった5月8日は“敗戦の日”ではなく、ナチスの暴力支配からドイツ国民が自由になった“解放の日”である」とも断言しました。
ブラント首相の謝罪をさらに推し進めた大統領の良心の叫びは、ついに国内の保守派の人々をも突き動かし、ドイツは歴史を真正面から見つめて揺らがない国へと変貌して行きました。ドイツの戦後はそこで終わり、未来へ向けての新しい歩みが始まったのです。
ドイツのブラント首相の行為は、あなたがかつて周辺国に謝るな、と凄んだ相手である村山元首相の、戦後総括談話になぞらえることができます。
一方で日本の加害の歴史を決して直視しようとしない極めつきの歴史修正主義者であるあなたが、なんと首相にまでなってしまったことが日本の危機を表しています。
中国や韓国を始めとする軍国日本の被害者たちの怒りは、徹底した謝罪をした筈の日本 政府内で、これを否定したり或いはないがしろにするネトウヨ閣僚や議員などが続出することから来ています。
閣僚どころか日本のトップであるあなた自身が、 そのあたりのゴロツキのネトウヨよろしく侵略戦争ではなかった、責任など感じないし謝りもしない、勝手に謝るな、などとと欺瞞を正当化するための暴言を吐くのは今後は慎んでほしい。
だが、台湾有事発言ほかのあなたの軽挙妄動を見ていると、大げさではなく絶望的な気分になります。
あなたは、中韓に限らず多くの国々が疑問を持つ靖国参拝を強行するなど、歴代内閣の「真摯な謝罪」を台無しにする行為も平然と行ってきました。それらは日本国内で歴史認識の筋道が未だ確立されず、故にその共有も全く存在しない現状を露呈するものにほかなりません。
そのために中韓はもちろん国際世論の大半が、日本の反省と謝罪は無条件に信用できるものではない、と今もなお判断し続けています。
先の大戦の総括に議論が及ぶ場合には、たとえ対象が中韓であっても、背後にその他の「世界の全て」が控え、監視していることを決して忘れてはなりません。
あなたとあなたの周囲の民族主義者らは、靖国参拝を正当化するとき「国の為に死んだ方々の御霊を慰めるのは日本人として当たり前のことだ。他国にとやかく 言われる筋合いはない」と実にもっともな反論をします。
戦争で国の為に倒れた人々の霊を敬うのは、口に出して言うことさえばかばかしいほど、当たり前のこ とです。その考えは真っ当なものです。世界基準の心の在り方、と言っても差し支えないでしょう。もちろんその心は、あなたとあなた仲間の靖国参拝に猛烈に反発している中韓でさえ同じです。
だが靖国に祭られている戦死者は天皇制ファシズムの犠牲者であり被害者です。あなたたちはそれをあたかも戦争の勇者という視点で見てそこばかりを強調します。
だが彼らは死ぬべき存在ではなかった。生きて人生を謳歌するべき存在だったのです。死した彼らは怨み言を言わない。だからあなたとあなたの仲間は、彼らは天皇のために喜んで死んでいった人々なのだ、と勝手に皇国史観つまりファシズム史観を押し付けます。
あなたの支持母体である民族主義者や反動右翼やネトウヨの皆さんは、世界から目を逸らしたまま日本という辺境の一軒家にこもって、壁に向かって常に怨嗟を叫び続けています。
私が「引き籠りの暴力愛好家」と規定している彼らの視界に辛うじて入っている外の世界は、隣の、彼らにとっての「劣等国」の中韓のみです。
あなた達は同類の者同士でつるんで、隣国の「劣等国民」を罵倒しては自己満足に浸ります。実はそれと同じことを、まさに中韓の一部の人々もやっています。あちらのネトウヨの皆さんです。
反日をあおる中韓のそれらの人々と、日本のネトウヨ民族主義者の皆さんは、実は同じアジアのDNAで強く結ばれた血縁の濃い兄弟です。心が狭く、未開で、無知で、ネチネチと細部にこだわり、怒りっぽい。
中韓のネトウヨの皆さんが怨みつらみに絡めとられて、こめかみの血管を膨らませて日本を罵倒すれば、日本のネトウヨの皆さんは、南京虐殺の被害者数を執拗に問題にし、慰安婦に軍が関わったことを示す証拠はないと重箱の隅をほじくっては得意になります。
挙句の果てには侵略の定義はない、などとかつての日本軍の蛮行をどうにかして否定しようと試みる。瑣末にこだわる粘着質のそうした性根は日中韓で共通しています。
戦後処理と和解には1-法的処理、2-謝罪、3-和解の3段階があるとされます。そのプロセスは加害者側が真摯に誠実にこれを執行するときにのみ完遂します。例えば韓国との間の法的処理は、1965年の日韓基本条約等で既に完成しています。
それを無視した言い分には冷静に対応し、なお埒が開かない場合には、事案を国際法廷に持ち込む可能性も考えつつ、しかし飽くまでも和解を目指している間柄ですから剣呑な動きは最終手段にして、そこでもできる限り話し合いによる解決を模索して行くべきです。
ネトウヨ民族主義者の皆さんは、何度謝罪すればいいのだ、とすぐに目を剥いて蛮声を挙げます。その答えは単純です。つまり、和解が成立するまでは何度でも謝るのです。あるいはそのつもりで相手と対するのです。
こちらに真心があるなら謝罪は必ず受け入れられます。確かに中韓共に日本に対して頑なに過ぎて、和解は遠いと見えることもあります。だが、日本はつい最近まで中韓とも完全和解に向けた歩みを続けていました。
それを停滞させたのは、日本側の事情に限って言えば、安倍元首相であり、彼の金魚のフンであるあなたとあなたの仲間の極右カルト神殿拝跪群像です。
日本は遅まきながらもドイツに倣うべきです。このことは歴史的に繰り返し指摘されてきたことです。しかし日本は全くそれを実践しようとはしなかった。
その苦渋の歴史の流れの果てに起きた鬱陶しい「事件」が、今回選挙でのあなた、高市自民党の大勝利です。
あなたが、あなたの政治家としての卑小な価値から見れば不当な、途方もない大きな比率で選挙を勝ち抜いたのは不吉です。
私はよく、戦争を徹底総括し過去を見事に清算したドイツの極右と、それに準じるここイタリアの極右と日本極右を比較して見、考えます。その度にほとんど絶望的な感慨を抱きます。
日本極右のボスとなったあなたは戦争総括を嫌い、日本の侵略戦争を正当化し、周辺の被害国への謝罪を拒み、天皇制ファシズムを賞賛、希求する圧倒的な歴史修正主義者である点で、欧州のどの国の極右よりも危険です。
それでも私は希望を持っています。あなたが、あなたを慕う若者らの熱い思いに応えることです。それは何よりも先ず戦争をしないことです。
そのためにはあなたは、例えばここイタリアのメローに首相に倣って、極右の過激思想を改め現実路線に舵を切ることです。
現実路線とは、あなたの大好きなトランプ主義とはそのまま仲良くしながら、中国ともロシアとも対話し友誼を求め、北朝鮮とさえ握手をすることです。
手始めに台湾有事発言でこんがらがってしまった日中関係が、今回の場合はひとえにあなた自身の不徳のいたすところであることを認めて、行動を起こすことです。
真に中国に立ち向かう勇気があるのなら、発言の撤回、謝罪などを恐れてはなりません。
それをすることであなたは中国に誠意を示し、何よりも反中国で危険に盛り上がるあなたの仲間と支持者を「あなた自身がしっかりと抑え掌握している」という強いシグナルを送ることができます。
