4月12日に行われるハンガリー総選挙が、欧州のみならず世界の大きな注目を集めている。
EUきっての仁義なき戦い男、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相が、16年間(合計20年余り)にも渡る強権支配を終える日が迫ったかもしれないからだ。
ほぼ全ての世論調査によると、野党ティサ(Tisza)党を率いるペーテル・マジャル氏が、フィデス(Fidesz) 党のオルバン首相を大きくリードしている。
政権党による不正がない限り、ハンガリーの次期首相はペーテル・マジャル氏になる見込みだ。
オルバン首相はトランプ大統領とプーチン大統領の強い支持を受けている。
ウクライナ問題では、EUの総意に反してプーチン大統領に寄り添い、トランプ大統領のあらゆる政策を称賛している。
オルバン氏は1998~2002年に首相を務めた。その後、下野して2010年に再び政権を握った。
以後16年に渡って「民主主義ではない民主主義」の手法でハンガリーを統治してきた。
学識者は彼の政治手法を独裁ではないが民主主義でもない「ハイブリッド体制」「競争的権威主義」あるいは「情報独裁政権」などとと呼ぶ。
またオルバン首相自身は自らの政府を「非自由主義的民主主義」と規定した。
第12代欧州委員会委員長のジャン=クロード・ユンケル氏は、EUサミットでオルバン首相に会った際、「この独裁者~」とジョーク交じり言いつつ首相の頬を叩いた。
僕はオルバン首相を単純に「ハンガリーのミニトランプ」あるいは「EUの目の上のトランこぶ」などと呼んで呆れつつ憂鬱に眺めている。
ハンガリーは16年間の「非自由主義的民主主義」政権のおかげで、欧州連合の中で最も腐敗し、最も貧しく、最も自由度の低い哀れな国に成り下がったとされる。
オルバン首相のボスのトランプ大統領は、選挙応援のためにルビオ国務長官と、トランプ大統領に輪をかけたトランプ主義者であるヴァンス副大統領を、ハンガリーに送り込んだ。
彼らの力でオルバン首相の劣勢が覆せるとは思えない。
だが、もしも覆った場合は、オルバン首相のEU内での無頼度が勢いを増し、イラン戦争で躓いたトランプ大統領の強烈な悪運が回復するきっかけにもなりかねない。
そして何よりも気が滅入るのは、ボスよりもさらに危険なトランプ主義者にも見えるヴァンス副大統領が、次期米大統領としての足場をさらに固めるかもしれない事態である。
