トランプ大統領と習主席の米中首脳会談は、すこし拍子抜けな結果にも見えるが、中国のひとり勝ちと捉えたほうが正確だろう。
イラン戦争が勃発するまでは、2人の会談は世界を2分割、あるいはプーチン・ロシアを引き込んで世界を3分割して支配する構想を、トランプ大統領が密かに持ちかけるのではないか、という事態さえ考えられた。
トランプ大統領がイラン戦争までは、向かうところ全く敵なしの世界帝王に見えていたからだ。
だが彼はイラン戦争で味噌をつけ、秋の中間選挙に向けて中国の助けを借りたいのが見え見えの動きに徹した。
トランプ大統領は習主席をほめそやし、中国は美しい、すばらしい、と何度も持ち上げ、相方との友情を強調しまくった。
そのうえでいつものように嘘か真かわからない会談の成果を言いふらした。だがそこにはほとんど彼の得分はなかった。中国のワンサイドゲームだったのだ。
中国の最大のゲインは、トランプ大統領になんらの言質も取られることなく、台湾問題に鼻を突っ込むなと釘を刺し、新興勢力が既成勢力に挑む「トゥキュディデスの罠」論を持ち出すことで、中国がアメリカと対等な存在であり一歩も引かない大国である、ということを堂々と主張したことだ。
イラン戦争を起こして危機に陥っているトランプ大統領は大人しいばかりで、自らを「予測不能な、とんでもない行動も辞さない危険人物」に見せることで相手を恐れさせ、交渉で譲歩を引き出す外交術 、いわゆる“狂人理論”を行使する余裕もまたその理由もなかった。
片や中国は、トランプ大統領が危機に瀕している、まさにその原因のイラン戦争は、断じて起こるべきではなかったとも主張して、ここでも、外交戦略上の勝利を収めた。
またアメリカは、中国が「イランは決して核兵器をもつべきではない」と主張したとも言ったが、中国はかねてよりイランの核兵器保有には反対の立場ながら、首脳会談で習主席が改めてそう言明したかどうかについては、中国側からの正式な確認はない。
トランプ大統領は、イラン攻撃の最大の理由は同国の核兵器開発と所有だとわめいているから、中国の介添えが喉から手が出るほどほしかったがそこでもコケた。
アメリカと堂々と渡り合う中国を見下している高市首相は、トランプの腰巾着でいることを止めて一刻も早く自主独立路線に舵を切るべきだ。
それはトランプ大統領とも仲良くしつつ中国との友誼も模索しろということだ。それが国益だ。戦争に備えることではなく、戦争を避ける努力こそが最大の国防であり安全保障だからである。
