またワールドカップがやって来た。4年に一度の祭典に胸を躍らせながら、無為に過ぎた自らの4年を嘆く。凡人のいつものパターンだ。
日本は昨日、W杯準優勝3回の強豪国オランダと初戦で火花を散らした。
前回大会では日本は、ドイツとスペインを破って世界を愕かせた。
それは日本サッカーが強くなっていることを示す出来事だったが、同時にドイツとスペインに比べるとまだまだ力量不足であることも露呈した。
ドイツとスペインが大きな戦略と複雑な戦術で動くのに対して、日本は「脱兎の走り」で滑稽なくらいにひたすらに駆け回った。
コマネズミのように動き回る泥臭い戦い方は少しも美しくなかった。だが日本は走るスピードと量で相手をかく乱して勝利をものにした。
僕は当時ここに
「日本は、物まねのポゼッションサッカーや無意味なボール回しや“脱兎走り”を忘れて、蓄積した技術を基に“独自の戦術とプレースタイル”を見出し次のW杯に備えるべきだ。独創や独自性こそ日本が最も不得手とする分野だ。だがそれを見出さない限り、日本がW杯で飛躍して、ついには優勝まで手にすることは夢のまた夢で終るだろう」
と書いた。
日本のサッカーは相変わらず選手の「駆けっこ」が売りの拙いものだが、スピードはそのまま維持しながら戦術的に動くようになって、それに見合う選手のテクニックも備わってきたようだ。
オランダに勝つことはなかったが、チームの質としては前回大会でドイツとスペインを撃破したときよりもはるかに向上している。
いわば素人の域を抜け出して、世界の強豪チームの戦術に近い戦い方を会得しつつあるように見える。
対オランダ戦の特に前半では、ここイタリアのTVキャスターが「歩くサッカー」と形容したほど展開が遅い場面も頻発した。
それは日本が「脱兎走り」を抑制して、パスワークと戦術に重きをおいた動きをしていたからだ。
それが前回大会からの進化だと僕は思った。
まだ1次リーグの初戦を終えたばかりだが、今大会ではあるいは再びそこを突破して、悲願のベスト8進出も夢ではないかもしれない。
そうなれば優勝も全くの幻化夢幻ではなくなる。
サッカープレーヤーとしての僕が、「ベンチのマラドーナ」と呼ばれて相手チームの少年たちを震え上がらせていたころ、世界基準での日本サッカーは爪の垢にも及ばない程度の存在だった。
思えば遠くまで来たもんだ、というのが初戦の戦い方を見ての率直な感想である。
それにしても、サッカー嫌いやゲームに興味のない人たちはチョー暇そうでうらやましい限りだ。
こちとら「世の中に絶えてサッカーなかりせば 俺の心はのどけからまし」ってぇ気分だぜ。
