トランプ政権は2026年8月18日、ICC=国際刑事裁判所の赤根智子所長らを制裁対象に加えると発表した。
独裁者は法の支配を否定して自らが法になろうとする。トランプ大統領が赤根智子氏らに制裁を科したのはその一環である。
今さらながらトランプ氏が、名実ともに独裁者の道をまっしぐらに歩んでいることに驚かされる云々、というのは実は虚しい響きの糾弾である。
トランプ大統領は向かうところ敵なし、言語道断の理不尽を思いのままに強行している。だが、誰もこれを止められない。
トランプ大統領の暴走を止めることはほぼ不可能だ。彼はたとえ11月の中間選挙で敗れても、いや、敗れた場合は余計に、政権最後の駆け込み悪政を敷き、暴虐の限りを尽くしてから去ろうとするにちがいない。
その時の彼の脳裏にあるのは、権力の座を降りてただの人になった際の、政敵による徹底報復への怖れだろう。やりたい放題の悪事を働きまくった彼には、必ず因果応報の天誅が下されるのが宿命だ。
それを避けようとして彼が目指している暴政の一つがICCの解体、無力化だ。
トランプ大統領の専横を受けてICCの赤根所長は8月21日、今回の制裁を「ある程度予期していた」とした上で、「これを国際的な『法の支配』の終焉の始まりとさせない」ことが重要だと訴えた。
また、「日本と日本の皆様の支援が重要な鍵となるだろう」 とも述べた。
これに対する同胞の高市首相の応えは冷淡だった。
首相は
「赤根所長の件につきましては大変残念に思っております。これからも米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応してまいります」
と相変わらずのトランプのポチ丸出し発言。
彼女には法の上に立とうとするトランプ大統領の傲慢を否定する知力はおろか、赤根智子所長が日本人であり且つ自らと同じ女性であることへのあるべき洞察もない。
曲がりなりにも法治民主主義国家を名乗る日本は、ICCと赤根氏を徹底支援するべきだ。加えて日本は赤根氏が日本人であることを大いに笠に着て、彼女をとことん支援したほうがいい。
ICCを断固支持すると表明した上で、日本人の赤根所長を日本国と日本人が徹頭徹尾守り抜くと宣言するのは、依怙贔屓や自己中心的な姿勢ではない。むしろその逆だ。
日本人である高市早苗首相が、日本人である赤根智子氏をどこまでも支持するとトランプ大統領に宣言すれば、あるいは彼はその心意気を善しとするかもしれない。
例えその逆の反応が返ったとしても国際社会は必ずその動きを称賛するだろう。
だが、高市首相はそう動くことはおろか、飽くまでもトランプ大統領の金魚のフンとして行動することが日本の国益、と妄信しているらしいのが憂鬱である。
そこでICCと赤根所長にこう提案したい。
トランプ大統領は、彼の任期が終わる前にICCを破壊しようと今後も死に物狂いで攻撃を続けるだろう。しかも残念ながらICCには勝ち目はなさそうだ。
そこでトランプ大統領に逮捕状を出す。罪状はベネズエラのマドゥーロ大統領拉致とそれに伴う人民虐殺である。
あるいはICCがアフガニスタンでの米兵の悪行を指弾した過去を蒸し返して、トランプ大統領に逮捕状を発付する。
トランプ大統領は2度に渡る任期中に、多くの国を攻撃しそれに伴って兵士のみならず民間人も虐殺した。またガザでは住民の大量虐殺を続けるイスラエルを支持し、武器も大量に提供している。自身が虐殺を敢行していると言っても過言ではない。
ICCは非加盟国や個人を断罪することはできない。だが加盟国内で悪事を働いたと見做される場合はこれを訴追することができる。
ICCが非加盟国のボスのプーチン大統領とネタニヤフ首相に逮捕状を出したのはその条件を満たしたからだ。
同じことがトランプ大統領にも適用されていい。トランプ大統領が攻撃を仕掛けた多くの国のうち、アフガニスタンとベネズエラはICC加盟国なのだ。
非加盟国の 首魁であるトランプ大統領は、手下(軍隊)を使ってICC加盟国であるアフガニスタンとベネズエラで犯罪を犯した。プーチン大統領とネタニヤフ首相のケースと同じだ。だから逮捕状を発布するのである。
逮捕状を発しても、独自の警察や軍隊などの強制執行機関を持たないICCは、トランプ大統領を拘束することはできない。これまたプーチン大統領とネタニヤフ首相の例に同じだ。
だがそうすることでICCと赤根所長が世界に与えるインパクトは計り知れない。
それによってICCの解体を目論むトランプ政権を強く牽制する。そして何よりも大統領の任期終了後に無傷でとんずらすることを企んでいるに違いない彼に待ったを掛けることができる。
それは同時にICCと赤根所長の権威と尊厳と、且つ単なる象徴に留まらない強い政治力を示すことになると思うのである。
