akane vs trump656

トランプ政権は8月18日、ICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長ほかの幹部に制裁を科した。アメリカ国内の資産が凍結され、アメリカ企業や個人との取引が禁じられた。

制裁の背景には、ICC自体の解体をめざすトランプ政権の執拗な計略がある。

ICCは国連の機関ではなく、「ローマ規程」という多国間条約に基づいて設立された独立の常設裁判所である

そのためアメリカがいかに強力に「解体」を求めて圧力をかけたとしても、120余の加盟国がゼロになるか、大多数の加盟国が同意しない限り、組織そのものを法的に消滅させることは難しい。

それでもトランプ大統領のICC攻撃は時間と共に激しくなるだろう。なぜなら彼は任期を終えた時の政敵の復讐を怖れている。

だから大統領の任期が終わる前に、ICCを機能不全になるまで弱体化させようと画策していると見られる。

それがルビオ国務長官を介して明言された、トランプ大統領によるICC解体宣言の真相だ。

トランプ大統領とICCの対立は、第1次政権から始まり、第2次政権において激化した。

ICC2020年、アフガニスタンにおける米軍やCIAなどの戦争犯罪容疑の捜査を正式に認めた。

トランプ政権はこれに猛反発。当時の主任検察官らに対して資産凍結や渡航禁止などの制裁を科した。

また202411月にはイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発付。それに対してトランプ大統領は、ICC職員への広範な制裁を認める大統領令で反発した。

そして直近の20268月、トランプ政権はICCの赤根智子所長と複数の幹部に、資産凍結や渡航禁止の制裁を科した。

アメリカはICCへの制裁と同時に、日本などの同盟国に対しICCへの支援を打ち切る」ことを期待する、とも明言している。

同盟国は「米国との友誼」と「(国際)法の支配」のバランスをどう保つか、という難問を突き付けられている。

高市首相は同胞の赤根智子所長を切り捨てて、今回もぴょんぴょん飛び跳ねながらトランプ大統領の腕にしがみつき媚びを売るのだろうか。それをすれば彼女は今度こそ万死に値する。

ICCの規定では加盟国の領土内で犯罪が起きた場合、犯人が非加盟国の国民であっても、ICCはその人物に対して管轄権を行使できる。

例えばベネズエラは2000年に加盟し、2026年にトランプ政権の圧力に屈して脱退を通告しているものの、マドゥーロ大統領拉致と住民虐殺をICCが深刻な国際犯罪と見做せば、トランプ大統領は訴追の対象になり得る。

ICC加盟国のパレスチナ領内で悪行を働いたとして、非加盟国であるイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状が出たケースや、プーチン大統領のウクライナでの児童誘拐に対する逮捕状発付と同じ理屈だ。

トランプ大統領は一貫して、非加盟国であるアメリカの国民に対し、ICCが管轄権を強制することは国際法上認められないと強弁している。

それはあたかも泥棒が、「俺は盗みという罪を認めない。従って俺の盗み(の罪)は存在しない」と言うようなものだ。

まことにもってトランプ“唯我独尊やりたい放題”大統領らしい、コペルニクス的転回の詭弁論法ではないか。

国際社会においては「重大な人道犯罪の場合、国家元首であっても免責されない(不処罰の解消)」というのが歴史的な認識であり解釈である。それはICCのミッションでもある

トランプ大統領は既述のように将来自身が復讐されること、つまり司法追及を怖れている。それ故に彼はICCによる逮捕状発付の可能性」に何よりも激しく反発する。

赤根智子所長ら幹部への資産凍結や渡航禁止は、「もし米国の大統領や同盟国の指導者に逮捕状を出せば、ICCという組織そのものを破滅させる」という強い威嚇だ

加盟国の領土を攻撃した容疑であれば、非加盟国の元首であってもプーチン大統領らと同様に逮捕状の対象になる。

ICCはベネズエラのケース以外にも切れるカードを持っている。2020年のアフガニスタンの案件を蒸し返して、トランプ大統領と対峙するのだ。究極には彼に逮捕状を発付する。

だからこそトランプ大統領は、その「万が一の可能性あるいは法的リスク」を完全に摘み取るために、ICCへの攻撃を激化させていると見ることもできる

トランプ大統領は例によって強い強迫観念、あるいは彼十八番の狂気理論に基づく計算に突き動かされて暴走しているらしい。見ていてひどく鬱陶しい。先行きが憂慮される。

ICCは彼を絶対的に牽制するためにも、逮捕状の発付を含む強烈な対抗策を速やかに編み出すほうがいい。



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