イタリアは昨年、フェミサイド(女性殺害)犯が有罪となった場合は、有無を言わさず最重刑の終身刑に処すると決めた。
その理由は、イタリアにはフェミサイドが日本と比べて多いからではないのか、という問い合わせがあったので書いておくことにした。
結論を先に言えば、日本のフェミサイド数はイタリアよりも多い。日本のそれが少なく見えるのは、フェミサイドが可視化されていないからだ。
日本の全体の殺人件数は欧米に比べて低いが、女性が被害者になる割合は多い。フェミサイドは公式な統計項目がないため、実態が潜在化しているに過ぎない。
一方イタリアのフェミサイドは社会的な注目度が高く、法的定義も進んで被害者の人数も毎年明らかになる。
欧州の主要国に限って言えば、イタリアのフェミサイドの発生率は英独仏より低く、スペインと同程度である。突出して多いということはない。
ただイタリアにはフェミサイドを軽視する特殊な文化がある。フェミサイドを痴話喧嘩の成れの果て、と見做してしまう傾向が強いのだ。
そんな愚劣な考え方への強い反発などもあって、フェミサイド犯は否応なしに終身刑、という画期的な法律ができた。
日本はイタリアを見習ったほうがいい。
フェミサイドが見えにくい環境を是正して、制度的な可視化を大急ぎで進めるべきだ。
フェミサイドも結局は、男尊女卑という旧態依然とした病理が導く悲劇である。
