沖縄県知事選は保守の古謝候補が獲得票数およそ6-4で現職の玉城候補を破った。
古謝候補は高市政権との協調を訴え、玉城候補は、沖縄の基地負担軽減を要求するシンボリックな存在という属性を帯びて選挙戦を戦った。
ここイタリアを含む欧米のメディアは、沖縄県知事選挙における玉城氏の敗北を、米軍の過重な駐留に対する沖縄一般住民の抵抗精神の衰えの兆候、と捉えている。
例えばロイター通信(Reuters)は「中央政府による南西諸島での軍事力強化策に対し、沖縄県側がこれまでのように激しい抵抗を見せなくなる可能性が高い」と分析。
ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)は「中国への警戒と経済不安を背景に、保守派を選出」との見出しで、「国家による地域の“要塞化・軍事化”が強まる中、沖縄県側が抵抗できる力が失われつつある」と学者の現状分析を交えて報告。有権者は基地問題の消耗戦を脇に置いて「経済的繁栄」を求めたと解説した。
アルジャジーラ(Al Jazeera)は「中央政府の支持する候補が勝利。長きにわたる米軍への反対運動に終止符か」と速報。辺野古容認を受け入れる初の知事の誕生が、同地域における米軍の存在や地政学的緊張に大きな影響を与える、と報じた。
エコノミスト(The Economist)は「日本の南部における非常に重大な選挙」との見出しで、中国が主張し日米も認識する「第一列島線上の軍事戦略的要衝である沖縄における、日本の国防政策全体の大きな転換点になるのでは、と指摘。
また中国国営メディの環球時報(Global Times )は「辺野古移設容認の知事の誕生により、南西諸島における軍事力増強が加速する。それは周辺国に強い警戒心を呼び起こすことになる」と書いた。
世界のメディが共通して言うのは、選挙は防衛軍事力の増強と辺野古移設容認の分岐点であること。
過去12年の「基地移設反対」の姿勢が、復帰後生まれの若い知事の誕生によって覆ったこと。
それによって高市極右政権による防衛力増強計画がスムーズに進むであろうという事である。
それらの記事が語るのは沖縄の地政学的重要性、軍事的ウエイトの重大さ、高市右翼政権の大勝利、といったナラティブがほとんどである。
そこには沖縄が辿った重く悲惨な歴史や人々の痛み、忘れてはならない記憶、売ってはならない魂や誇りといった、生身の人間にからまり、物語る視点がない。
言葉を替えれば、敗北した玉城陣営が守り抜こうとした沖縄の尊厳への惻隠や思案はひとかけらもない。
外国メディが注目した軍事要塞然とした沖縄を歓迎しているのは、高市政権と自民党またそこに擦り寄る国民、維新、参政、保守、そして連立離脱から対立に回り再び自民に迎合した、転び伴天連の公明党である。
沖縄は過重な基地負担を押し付けられ、それによって経済発展を阻害される。結果の弱体経済故にネトウヨヘイト系差別主義者に補助金泥棒と罵倒され、米兵犯罪に悩まされ、米軍による事故、騒音、環境破壊等にさらされ、辺野古騒動に翻弄され続けている。
そこを逆手に取って高市政権は、基地に反対なら他府県が受け取るような補助金を期待するな。経済的援助を受けるなら基地の押し付けを黙って受け入れろ、と露骨に脅して民意を力づくでねじ伏せた。
そのうちの一つが自民党高市陣営と、前出の極右勢力などが共闘して展開したようにも見える、主に若者を総動員してのSNS選挙キャンペーンだ。極右が日本を席巻している。それは日本の劣化と同義語だ。
極右ポピュリズムは、主要政党や与党がそれに同調する時に爆発して、制御が効かなくなる。かつて日独伊のファシズムはそうやって全国民を巻き込んで暴走し自滅した。
日本の現在の状況は、与党の自民党が極右ポピュリズムに寄り添おうとしているのではなく、主要政党の自民党内に既に極右ポピュリズムが逆巻いていて、参政や保守や維新など、文字通りの極右雑魚政党が吸引されているように見える。
不気味以外のなにものでもない光景である。
