ポルトガル旅行で料理を堪能した。
言わずと知れた各種バカラ(バカリャウ・鱈の塩漬けの干物 )、タコ、イワシ、子豚の丸焼き、海鮮鍋のカタプラーナ等々が素晴らしかった。
バカラのレシピは数限りなくあり、食べたどれもが美味かった。
イタリアにもバカラ料理はある。秀逸なのはヴィチェンツァの郷土料理だが、ポルトガルのバカラは、どこで食べてもヴィチェンツァの「バカラ・アッラ・ヴィチェンティーナ」並に美味だった。
タコもよく食べられる。どこの店もレシピを研ぎ澄ませている。
ポルトで食べた一皿は、タコの吸盤を剥ぎ落として薄いソースで柔らかく煮込でいた。絶妙な味わいだった。
もっとも驚いたのはイワシ料理だった。
マリネと焼きレシピが主体だが、多く食べたのは後者。単純な炭火焼なのに店ごとに微妙に味が違っていた。
北のポルトから最南端のファロまで、全国でイワシが盛んに食べられる。ワタも食べることを前提にして焼かれていて、いくら食べても飽きなかった。
ポルトで食べた一皿は、基本の塩に加えて、極く薄味のソースが肉に染みこんでいた。素朴だがほとんど玄妙な風味を感じた。
あるいはソースではなく、添えられた野菜の煮汁がからまっているだけかもしれないが、いずれにしてもそれは、計算され研究しつくした結果生まれた相性に違いなかった。
イワシという質素な素材にかけるポルトガルのシェフたちの意気に感嘆した。
僕は実際に自分が食べ歩いた中での、7つの海ならぬ世界の7大料理という括りを持っている。
それは美味しい順に、「日本料理、イタリア料理、中華料理、トルコ料理、スペイン料理、ギリシャ料理、フランス料理」である。
ところが今回ポルトガル料理を本場で食べ歩いた結果、7大料理は8大料理へと発展した。
ポルトガル料理が世界四天王料理の日本、イタリア、中華、トルコの次にランクインしたのだ。
結果、またまたフレンチが順位を落として、世界の美味しい料理ランキングは「1.日本料理、2.イタリア料理、3.中華料理、4.トルコ料理、5.ポルトガル料理、6.スペイン料理、7.ギリシャ料理、8.フランス料理」となった。
フレンチは、料理の本質は素材であって、ソースはそれを引き立てるための脇役に過ぎない、というコンセプトを理屈ではなく骨の髄まで染み入る因果として理解しない限り、永遠にランクを落とし続けるんじゃないかな。
いわば、
ポルトガルのシェフたちは素朴なイワシ料理に命をかけている。
日本の板前は素材そのものの味に命をかけている。
ところが、
フレンチのシェフたちは相も変わらずソースに命をかけている。。ように見える。
それはそれですばらしいことだし面白い。
でも、やはり何かが違うと思うのだ。
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