W杯3位決定戦ブラジルVSオランダは、0-3でオランダの圧勝となった。
準決勝でドイツに7ゴールを献上したブラジルは、それが「一過性の椿事」だったと世界に知らしめるためにも、また事件がトラウマとなって自らを苦しめることがないようにするためにも、オランダ戦をうまく戦う必要があった。
たとえばブラジルらしい派手なパフォーマンスを展開して、できれば大勝、勝てない場合は最低でも何ゴールかを決めての引き分け、という程度の結果がほしかったはずである。
結果はまたもや惨敗。 試合開始からわずか1分25秒でブラジルはオランダにPKを献上した。守備の要で主将のチアゴシウバが、オランダFWロッベンの疾駆に追いていけずにファールで倒してPK、得点に。
それからわずか15分後にもオランダはゴールを決めてブラジルを突き放した。試合終了間際にもオランダは非情のゴールを叩き込んで3-0。ブラジルは地獄に落ちた。
ブラジルの心的病はどうやら重篤のようだ。 3位決定戦でのブラジルの敗北は、その前の対ドイツとの7-1敗戦よりも深刻な結果だと思う。
なぜなら前述したように、ドイツ戦におけるほとんど非現実的なブラジルの7失点は、3位決定戦で同チームが「これぞブラジル」と誰もが認めるような派手なサッカーを展開することで、偶発事件として忘れ去られる可能性があった。
ところがブラジルの崩壊は、本物かつ深刻な事態であるらしいことがオランダ戦の惨敗で露呈した。
ブラジルはW杯最多優勝回数5回のうちの2回を割と最近達成している。即ち、94年と2002年の優勝。またフランスが初優勝した98年にも準優勝という好成績だった。
常勝サイクルの中にいたブラジルは2006年、また前回の2010年大会と不調になり低迷期を迎えたように見えた。
世界サッカーでは、一国の常勝サイクルは頂点のW杯優勝によって終わることが多い。頂点を極めたチームは緊張がゆるんで新たなモチベーションを掻き立てにくくなるから、それは理解できることである。
直近の例で言うなら、前回大会で優勝したスペインが、今回大会では早々と姿を消したのがその象徴だ。
ブラジルの常勝サイクルも恐らく2002年で終わり、ブラジルはまだ低迷期の中にいるのだ。ところが2年前、2002年W杯優勝監督のスコラーリが再び監督に就任し、翌2013年にはコンフェデ杯で優勝してしまった。
そのために世界の多くのサッカーファンがブラジルの常勝サイクルが再び始まったと思い込んだ。僕もそのうちの1人だった。だがそれは完全な錯覚だったのだ。
今回大会のブラジルの失点はW杯史上最悪の14。そのうちの半分がたった1試合での献上だ。
弱いチームの大敗は問題にならないが、世界最強と言われるブラジルの異様な負け方は世界中に衝撃をもたらした。
しかしブラジルは恐らく、イタリアやフランスまた今回大会で転落が鮮明になったスペインなどと同様に、低迷期に陥っているだけに過ぎないのだろう。
ブラジルサッカーは腐っても鯛だ。このすさまじいばかりの転落を経験した後には、不死鳥のようによみがえってまた華々しいサッカーを見せてくれるだろう。
崩れ方が異様なものだったから、もしかすると心的トラウマが大きく、復活には時間が掛かるかも知れないが・・