ことしは6月までに2度帰国し計ほぼ2ヶ月余り滞在した。その間に沖縄の宮古島沖で自衛隊ヘリが墜落する大事故があった。
合計10名の隊員が亡くなった事故は既に重大事件だが、そこに師団長や駐屯地司令官などの幹部が含まれたことで事態はさらに深刻化した。
ところで
事故に対する防衛省、また自衛隊の情報公開はどうなっているのだろう?
フライトレコーダーも回収され、自衛隊内部にはかなりの情報が蓄積されていると考えられる。それなのに情報開示が少ない、遅い。
あるいは何かを隠したがっているのではないか、と感じるのは僕だけだろうか。
旧日本軍に限らずどの国の軍隊も隠蔽体質を持つ。それは専制、暴力、欺瞞、権謀術策、裏切りなどの悪行と表裏一体である。
2つの世界大戦と民主主義が多くの国の軍隊の悪の体質にメスを入れて、少しは情報開示と文民統制の意識が進んだ。
第2次大戦で専制主義による悪事を働いたナチスドイツ、ファシズムイタリア、軍国主義日本のうちのドイツとイタリアは、大戦を徹底総括して軍隊の制御法を学んだ。
それは文民統制と情報公開と民主主義による暴力装置の抑制のことだ。軍自体もそれに沿って進化した。
日本は第2次大戦の徹底総括を怠った。そのために旧日本軍の欺瞞、横暴、隠蔽体質などが密かに自衛隊に受け継がれた可能性がある。
自衛隊が非常事態に際して文民統制を無視し暴走する危険性は常に高い。防衛省また自衛隊が、ヘリの墜落に関する情報公開を徹底できなければ、そのことが露見、確認されることになる。
ここでは国民とマスコミの意識の度合い或いは民度が試されている。
日本国民は依然として、右翼の街宣車が暴力的言辞をがなり立てて公道を行進しても罪にならない、野蛮な社会に生きている。
自衛隊がドイツ、イタリアの軍隊並みに正確に制御され民主化されて、右翼の街宣車が違法として取締りの対象になる時にこそ、日本の戦後が真に終わる。
宮古島沖の陸自ヘリ墜落事故の周囲には ― 情報開示が十分になされないと仮定して ― 軍隊と日本社会の行く末を占う要素が多く秘匿されているようにも見える。