【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

省筆再録

思い上がりが時間経過を速くする

ナンの花?



またたく間に2019年が駆け過ぎて、2020年もクリスマスまでたったの342日となってしまいました!時間経過のあまりの速さに心中おだやかではないものが出没するのは年齢のせい、ときめつけるのはたやすいことです。それに続く言葉は「残された時間の短さや大切さを思って毎日を真剣に生きよう」などという類の陳腐なフレーズです。

もはや若くはない自らの年齢を時々思ってみるのは事実ですが、そして残された時間をそのときに「敢えて」想像したりしないでもありませんが、実感は正直ありません。再び「敢えて」先は長くないのだから毎日しっかり生きよう、と自身を鼓舞してみたりもしますが、そんな誓いはまたたく間に忘れてしまうのだから無意味です。

年を取るごとに時間経過が早く感じられるのは、「人の時間の心理的長さは年齢に反比例する」というジャネーの法則によって説明されますが、それは要するに、人は年齢を重ねるに連れて見るもの聞くものが増え、さらにデジャヴ(既視)感も積層して物事への興味が薄れていく、ということなのだろうと思います。

どこかで既に実体験していたり経験したと感じることなので、人はそこで立ち止まって事案をしみじみと見、聞き、感じ、吟味して、勉強することが少ない。立ち止まらない分、人は先を急ぐことになり時間が飛ぶように過ぎて行くのです。NHKのチコちゃんはそれを「ときめかないから」と表現していましたね。

そこには自らの意志に反して心が乾いていく悲しさと、同時に大人のいわば驕りがあります。年齢を重ねて知っていることも事実多いのでしょうが、無駄に時間を費やし馬齢を重ねただけで、実は何も知らない知ったかぶりの大人は、筆者自身も含めて多くいるからです。それでも知ったつもりで、人は先へ先へと足早に進みます。死に向かって。

すると理論的には、知ったかぶりをしないであらゆるものに興味を持ち、立ち止まって眺め続ければ、人の時間はもっとゆっくりと過ぎて行く、と考えられます。しかし筆者の感じでは、それも少し違うように思います。

知らないことがあまりにも多すぎて、その過大な未知のもろもろを学び、知り、体験するには、1日1日が短かすぎる。短かすぎる時間の経過(毎日)の積み重ねが、すなわち「時間の無さ」感を呼び起こすように思います。

つまり、時間が疾風よりも光陰よりもさらに速く過ぎていくのは、「一生は短い」という当たり前の現実があるから、とも言えます。その短い一生を愚痴や、怨みや、憎しみで満たして過ごすのはもったいない。人生にはそんな無駄なことに費やす時間などありません。

と、何度も何度も繰り返し自らを戒めるものの、人間ができていない悲しさで日々愚痴を言い、怨み、憎む気持ちが起こります。そしてその度にまた自戒を繰り返します。自戒に伴って苦い悔恨が胸中に忍び入るのもいつものパターンです。

結局、人の人生の理想とは、多くの事柄がそうであるように、愚痴らず、怨まず、憎まない境地を目指して、試行錯誤を重ねていく『過程そのもの』にあるのではないか。そう考えれば、中々人間ができない情けない自分にも、まだ救いの道があるようで少し肩の荷が軽くなる気がします。



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トランプ次期大統領の罪


ついにトランプ米大統領が誕生することになった。

反移民、人種差別、宗教差別など、米国の国是と世界の大勢に真っ向から対立する主張を旗印にして選挙戦を戦ったトランプさんは、言うまでもなく、就任後に有能な大統領に化ける可能性もある。

アメリカを建て直し、中東からISを追い出し、欧州や日本などの同盟国ともうまくやっていくかもしれない。 

だが彼は、「差別や憎しみや偏見などを隠さずに、しかも汚い言葉を使って公言しても構わない」という考えを人々の頭に植え付けてしまった。

つい最近まで、つまりトランプさんが選挙キャンペーンを始める前までは、タブーだった「罵詈や雑言も許される」といった間違ったメッセージを全世界に送ってしまった。

それはつまり、人類が多くの犠牲と長い時間を費やして獲得した「寛容で自由で且つ差別や偏見のない社会の構築こそ重要だ」というコンセプトを粉々に砕いてしまったことを意味する。その罪は重い。
 
彼の愚劣な選挙キャンペーンによって開けられたパンドラの箱は、もう閉めることができない。

トランプさんはその一点でこの先も糾弾され続けなければならない。

その罪過は、将来彼が偉大な大統領として歴史に名を残すことになっても、あるいは帳消しにならないほどの大きなものだ。

「本音を語ることがつまり正直であり正しいことだ」と思いこんでヘイトスピーチを行い、それを容認し、本音の中にある差別や偏見から目をそらす者は、さらなる偏見や差別思想にからめとられる危険を犯している。

それがトランプさんであり、選挙戦中の彼のレトリックである。

大統領に当選したからといって、無条件に彼を祝福する理由はまだ何もない。 

 
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