【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

2024米大統領選

2期目のトランプ政権の化けの皮 

トランプ、マスクほか2人BBC650

 間もなく就任に臨むトランプ次期大統領は、ウクライナ戦争を大統領就任前に終わらせる。それでなければ就任後24時間以内に終結させる。

またイスラエルとハマスの戦争も速やかに終結させる、などと豪語してきた。

だが彼にはそれらの言葉を担保する明確な戦略やアイデアは無かったことが明らかだ。口から出まかせのまさにポピュリストそのものの言動だった。

彼は就任式を待たずに、ウクライナ戦争解決には6か月はほしいと自らの嘘を早々と認め、中東危機に関しても、第1次政権時と同じ極端にイスラエル寄りの政策を採るだけだけと見られている。

トランプ氏の真実は、自身がイスラエル大使に指名したがちがちのキリスト教福音派、ハッカビー氏の言葉と同じ「パレスチナ人など存在しない」に尽きるだろう。

トランプ次期大統領がウクライナ戦争終結に自信を見せるのは、ロシアの侵略に墨付きを与える形でウクライナの領土を割譲するよう、ゼレンスキー大統領を脅す用意があるからだろう。

だが、ロシアを利する形での終戦なら誰にでも仲介が可能だ。

欧州とウクライナがロシアへの徹底抗戦を続けているのは、プーチン大統領に代表される世界中の権威主義的な指導者に、「武力行使は認められない」という強いシグナルを送るためだ。

バイデン大統領は欧州と足並みを揃えて、その方向でウクライナを徹底支援した。トランプ氏が安易にロシアに都合の良い形での終戦を模索すれば、将来に大きな禍根を残すことになるだろう。

中東危機も同じだ。ひたすらイスラエルを擁護するだけの態度は許されない。イスラエルによるパレスチナ人虐殺は、ハマスによるイスラエル奇襲攻撃の残虐性をすっかり見えにくくしてしまった。

トランプ氏は、イスラエルは神が与えたユダヤ人の土地、と信じるキリスト教福音派の奇天烈な主張に殉じて、イスラエルを擁護しつづけるべきではない。

もしそうすればアラブ諸国のみならず世界の大半の人々がイスラエルへの怒りをさらに募らせ、ひいてはユダヤ人全体への憎しみが増幅されていくだろう。

弱者のパレスチナ人の背後にはグローバル世論が寄り添っている。ガザの住民は今は無力でも、将来は国際世論に支えられて必ずユダヤ人への意趣返しを試みるだろう。

多くの欧州の国々も歴史の憂悶に惑わされてパレスチナを突き放し続けるべきではない。イスラエル擁護一辺倒の政策は見直されるべきだ。

パレスチナを賛助する姿勢は、イスラエルを突き放すように見えるかもしれない。

だが実はそうした施策は、ユダヤ人が将来再び被る可能性が高まっているようにさえ見えてしまう、新たなホロコーストの類の惨劇を避ける意味でも極めて重要なアクションである。




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反トランプ的民主主義は死なないし、死なせてはならない

トランプ影絵忠誠心と復讐が鍵の内閣650

DEMOCRATISM『民主至上主義と訳したコンセプトが、知る人ぞ知る人々の間で取りざたされているようだが、DEMOCRATISMの日本語訳はひねらずにそのまま「民主主義愛好主義などとするべきではないか。

なぜなら真に民主主義を信奉する者は、民主主義が最良つまり至上の政体であり、絶対的な価値のあるものとは考えないからだ。

もしそう考える者があるとすればその人は民主主義者ではない。それどころか民主主義を騙る独裁主義者である可能性がある。独裁主義者はいつの時代も「われこそは至上の政治の体現者」と強弁して止まない。

民主主義は最善の政治体制ではなく、われわれが知る限りの政治体制の中のBetterな体制であるに過ぎない。そしてBestが見つからない限りはBetterがすなわちBestなのである。

民主至上主義とはひとこと言えば、アメリカの民主党政権とその支持者のことである。

民主至上主義 と訳されたDEMOCRATISMを論じた米ペパーダイン大講師のエミリー・フィンリーは、2024年11月の大統領選で敗北したアメリカ民主党を次のように批判した。

すなわち民主党がエリート主義に陥って民意を無視し平等、多様性、移民包容など、エリートが認める主張のみを「民意」として容認。それに合わない主張を実質的に排除した。

それは彼女に言わせれば、民主党がいわゆる民主至上主義に陥っているからだと結論付けた。

一方共和党は大衆の声を聴き、大衆が希求するアメリカ第一主義を貫いて選挙に勝った。トランプ主義はポピュリズムではなく、トランプ氏が民衆の声に耳を傾けている証だと言う。

仮にそれが正しいとしよう。だからといって、第一次トランプ政権と次期トランプ政権がエリート支配の政権ではないとは言えない。

民主主義は国民の総意に基づくものとはいえ、政権を担う者は民主党でも共和党でも選ばれた人々、すなわちエリートであることに変わりはない。

民主党は大衆の味方を標榜しながら実際には民衆とかけ離れた特権層や富裕層ばかりに肩入れをしてきた。だから選挙に負けたのである。民主党が民主至上主義に陥っていたからではない。

またたとえそうだとしても、民主党はそれを反省し修正して次の選挙で共和党を打ち負かせばいいだけの話である。

ところが著者フィンリーは、民主党の在り方を民主至上主義そのものと規定して徹底否定する。エリート主義が民主至上主義の特色であるなら、共和党も同じであるにも関わらずである。

選挙で負けた民主党だけが民主至上主義に陥っていると言い張るのは彼女が明らかに共和党支持者でありトランプ主義信奉者だからだ。

共和党を支持しトランプ主義を賛美するのは彼女の自由だ。だが選挙の敗北が即民主至上主義のなせる業だと決め付けるのは当たらない。

民主党は過ちを犯した。それは修正可能なものだ。民主主義は断じて完璧ではない。むしろ欠点だらけの政治体制だ。

だが民主主義は失敗や過ちや未熟さを容認する。容認するばかりではなくそれらの罪を犯した者が立ち直ることを鼓舞し激励する

変動し多様性を称揚し意見の異なる者を包括して、より良い方向を目指し呻吟することを許すのが民主主義なのである。

トランプ主義はその対極にある。トランプ主義者が自らの間違いを認め、多様性を尊重し、移民や 反対勢力を寛大に扱うと考えるのは無理がある。

トランプ主義はトランプ次期大統領が自ら語ったように独裁を志向し、対抗勢力を許さず、自ら反省することはなさそうである。

彼はプーチン、習近平、金正恩を始めとする強権主義指導者と極めて親和的な政治心情の持ち主だ。

彼はまた欧州の極右勢力や中東の独裁者やアジア南米等の権威主義的政権などとも手を結ぶ。

さらにトランプ主義は、政治的スタンスに加えて、トランプ氏の人格そのものも不信の対象になったりするところが極めて異様だ。

民主党は間違いを犯して選挙に負けた。

片や共和党あるいはトランプ主義は、不寛容と差別主義と移民排斥を主張して、2017年以来続く右翼思想あるいは極右体質をさらに強めて政権を握る。

エミリー・フィンリーの言う、平等、多様性、寛容など「民主党エリート」が認める主張」を否定して誕生するのが次期トランプ政権である。

トランプ主義は平等、多様性、寛容に加えて、対話を重視する民主主義もジェンダー平等も政治的正義(ポリティカルコレクトネス)主義も拒絶する。

要するに、言葉を替えれば、これまで民主主義社会が善とみなして獲得し実践しさらに進歩させようとして、必死に努力してきた全ての価値観を破壊しようとする。

破壊しその対極にある不平等、差別主義、排外主義、不寛容などを正義と決めつけ旗印にして前進しようとする。

トランプ次期大統領とその支持者は、民主主義を守ると主張するが、彼らが守り盛り立てようとしているのは権威主義である。民主主義の名の下にファシズム気質の政権を維持発展させようとしている。

真の民主主義、あるいは変わることを容認する柔軟な民主主義を信奉する自由主義者は、ネトウヨヘイト系排外差別主義者の集合体にも似たトランプ主義勢力の前に口を噤んではならない。

ネトウヨや差別主義者らが跋扈するネット世界に乗り出して、間断なくカウンターアタックを仕掛けるべきだ。ネトウヨが10のフェイク主張をするなら、リベラル派は20の真実とファクトで彼らの嘘を撃退するべきである。

トランプ主義&ネトウヨヘイト系排外差別主義者連合との戦いは今始まったばかりだ。自由と平等と寛容と多様性を信奉する者は、立ち上がって戦いを続けなければならない。

民主主義は黙っていればすぐにも壊れる儚いものだ。トランプ主義者らの蛮声と暴力を放置すれば、たちまち破壊されてしまう。ファシスト気質の政治勢力との戦いは始まったばかりなのである。





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息子を恩赦したバイデンはトランプとどっこいどっこいの史上最低の米大統領かもしれない

眠るバイデン650

バイデン大統領は退任も間近になった121日、有罪評決を受けた次男ハンター氏を恩赦すると、突然発表した。

バイデン大統領はそれまで、何があっても息子を恩赦することはない、と繰り返し述べていた。

彼もまた人の親である。気持ちは理解できる。

だが、彼はこの世の最高権力者である米大統領だ。法の下の平等という民主主義の根幹を歪める行為は厳に慎むべきだ。

もっとも米大統領の正義や良心などというものは、カスでまやかしに過ぎない、とトランプ前大統領が世界に向けて堂々と示して以降は、彼らの愚劣さにはもはや誰も驚かなくなったが。

バイデン大統領の次男ハンター氏は、薬物依存を隠して不法に銃を購入した罪と、脱税の2つの罪でそれぞれ最長17年と25年の禁錮刑を科される可能性があった。

それらの罪の判決が出る前に、父親が全てチャラにする、と宣言したのである。

バイデン氏は前任者のトランプ大統領が恩赦を発表する度に、自分とは違い法の支配を軽視する言動をしていると繰り返し批判した。

例えば2019年、いわく:

「トランプ大統領は法の支配、米国を特別なものにしているわれわれの価値観、そして名誉ある軍服を着た男女の国民を裏切った」

トランプ大統領がRストーン氏を減刑にした2020年、いわく:

「トランプ大統領は現代アメリカ史上最も腐敗した大統領だ」

また2020年の選挙運動中、トランプ大統領が司法長官職を政治利用しているとしていわく:

「司法長官は大統領の弁護士ではなく国民の弁護士だ。今のような司法長官職の売春行為はかつて存在しなかった」

云々。

一方でバイデン大統領は次男のハンター氏の問題では、先に触れたように「司法判断を尊重する。息子は決して恩赦しない」と明言してきた

ところがふいに方向転換し、大統領権限を使って「国や司法よりも家族が大事」と、驚愕の判断を下したのである。

バイデン氏の名誉のために付け加えておけば、米大統領が家族や自らのスタッフ、また支持者などを免責するのはよくあることで珍しくもなんともない。

最近の例で家族に限って言えば2001年、退任直前のクリントン大統領が有罪判決を受けていた異母兄弟を恩赦した。
また2020年にはトランプ前大統領が、義理の息子クシュナー氏の父親を恩赦で免責にした。

だがどの大統領も、バイデン氏のように「恩赦は断じてしない」と繰り返し正義をふりかざした挙句に、豹変する醜態はさらさなかった。

バイデン大統領は、司法制度が万人に公平であり平等あるという法の支配の大原則に逆らって、家族を優遇し個人の利益を優先させた。

それは彼がトランプ前大統領に投げつけた「現代アメリカ史上最も腐敗した大統領」という言葉が、ブーメランとなって自身に襲い掛かることを意味している。

まもなく退任する彼は、驚きも喧騒も喜悦も殷賑ももたらさない陳腐な米大統領だった。

だが彼は、トランプ前大統領が破壊した欧州やアジアの同盟国との信頼関係を取り戻し、ロシアに蹂躙されるウクライナを徹底して支援するという重要な役割も果たした。

直近では米国提供のミサイルでロシア本土を攻撃してもよい、という許可をウクライナに与えて紛争の激化を招きかねないと非難もされた。が、少なくともそれには、北朝鮮軍を抑制するという大義名分があった。

それらの得点は、バイデン氏が息子を恩赦したことで帳消しとなり、あまつさえその行為によって、自身がトランプ前大統領とどっこいどっこいの史上最低の米大統領かもしれない、と世界に向けて高らかに宣言することにもなった。




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記名ネトウヨ、イーロン・マスクの大きなお世話  

Elon Musk 高慢650

口角泡飛ばし男のイーロン・マスク氏が、なぜかイタリアの移民政策にちゃちゃを入れて物議を醸している。

イタリアのメローニ極右政権は、選挙公約を履行する形で、不法移民をアルバニアの抑留施設に送りこんだ。

するとイタリアの司法は、それを違法として移民7人をイタリアに差し戻す判決を下した。マスク氏はそのことを踏まえて、イタリアの裁判官は更迭されるべき、と声高に主張したのである。

遠いアメリカから、ただの金持ち様が「あんた何様のつもり?」の思い上がり行為に走るのは、むろん米大統領選でトランプ候補が勝利したことを受けてのアクションである。

イタリアの最極右とも見られていた「イタリアの同胞」党首・メローニ首相は、政権の座に就いて以来、政策スタンスをより中道寄りに軌道修正して、国内でもまたEU内でも好評に近い反応さえ得ている。

一方、国内でもまたEUからも胡散臭い目で見られているイタリア政権内のもうひとつの極右勢力、「同盟」を率いるマッテオ・サルヴィーニ副首相は、マスク氏の主張を歓迎する声明を出した。

インフラ大臣も兼ねるサルヴィーニ副首相は、プーチン大統領とトランプ次期大統領の信奉者でもある。

そのことからも分かるように、マスク氏の悪女の深情けな放言は、ファシスト気質のトランプ次期大統領の威を借りつつ、イタリアの極右政権へ親しみをこめて送ったエールだったのだ。

むろんそこには、移民に厳しい姿勢で臨むトランプ次期大統領へのヨイショの意味もあるのは言うまでもない。

しかし、肝心のイタリア政府のボス、メローニ首相は何も反応しなかった。

代わりに、今やイタリアの極右の総大将の位置に君臨する、サルヴィーニ副首相が喜んだという構図である。

マスク氏はただの大金持ちだが、一代で財を成した事実にはそれなりの理由があるに違いない。きっと何者かではあるのだ。

しかし、不遜な独り善がり言動が多いのは、どうにもいただけない。

彼は来たる2025年1月以降の4年間、トランプ大統領の右腕兼太鼓もちとして、あらゆる場面で不愉快な言動に出るであろうことが確実視されている。

マスク氏はアメリカ国籍をもつものの、幸い同国生まれではないため自身が大統領になることはできない。

だが、老いぼれで危険なトランプ大統領を操って、世界をさらなる分断へと導きかねないことが懸念される。





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トランプ災を転じて福となせるか日本

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トランプ返り咲きが確実になったようだ。

ハリス大統領の誕生を期待したが、仕方がない。

欧州、正確に言えばEU(欧州連合)の権力中枢も僕と同じ気分だろう。だが頭脳明晰で冷徹なEUの権力機構は、トランプ再選を想定しての戦略をしっかりと描いている。

心配は日本である。

先日の総選挙の結果、誰が政権を担うかも不確実な今の状況で、アメリカファースト主義のトランプ政権と対峙するスキームはあるのだろうか。

もしも高市政権が誕生していれば、安倍政権の続きでトランプの犬に徹する仕方を踏襲し、その意味では「安心」だったかもしれない。

石破政権も、高市政権ほどではなくとも、“日本はアメリカの属国”策を死守して、何とか生かせてもらえただろう。

与党が過半数割れして混沌とした状況の現在、日本には“トランプほぼファシズム政権”に対応して独自にアイデアを繰り出す甲斐性はなさそうだ。

既述のようにEUが核を成す欧州は、トランプ政権との付き合い方を2017~2021の間に学習し、今回の選挙では彼の勝利の可能性を見越して徹底シミュレーションして備えている。

日本は軍備はしっかりと整えながら、その増強のみを考えるのではなく、またアメリカ一辺倒のポチ街道を邁進するのでもなく、近隣の厄介国すなわち中露北朝鮮とも対話し欧州と協調して、グローバルサウスとも真剣に付き合い必要なら即座に援助の手を差し伸べる“当たり前”の先進国を目指すべきだ。

災いを転じて福となす覚悟で、厄介なトランプ政権を逆手に取り日本の国益になるよう賢明にまた懸命に動くのである。

と本心を書いても、真の民主主義が根付いていない日本の民度を思うと、脱力感に襲われるのが寂しい。




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