![トランプ、マスクほか2人BBC650](https://livedoor.blogimg.jp/terebiyainmilano/imgs/6/2/6299b193-s.jpg)
間もなく就任に臨むトランプ次期大統領は、ウクライナ戦争を大統領就任前に終わらせる。それでなければ就任後24時間以内に終結させる。
またイスラエルとハマスの戦争も速やかに終結させる、などと豪語してきた。
だが彼にはそれらの言葉を担保する明確な戦略やアイデアは無かったことが明らかだ。口から出まかせのまさにポピュリストそのものの言動だった。
彼は就任式を待たずに、ウクライナ戦争解決には6か月はほしいと自らの嘘を早々と認め、中東危機に関しても、第1次政権時と同じ極端にイスラエル寄りの政策を採るだけだけと見られている。
トランプ氏の真実は、自身がイスラエル大使に指名したがちがちのキリスト教福音派、ハッカビー氏の言葉と同じ「パレスチナ人など存在しない」に尽きるだろう。
トランプ次期大統領がウクライナ戦争終結に自信を見せるのは、ロシアの侵略に墨付きを与える形でウクライナの領土を割譲するよう、ゼレンスキー大統領を脅す用意があるからだろう。
だが、ロシアを利する形での終戦なら誰にでも仲介が可能だ。
欧州とウクライナがロシアへの徹底抗戦を続けているのは、プーチン大統領に代表される世界中の権威主義的な指導者に、「武力行使は認められない」という強いシグナルを送るためだ。
バイデン大統領は欧州と足並みを揃えて、その方向でウクライナを徹底支援した。トランプ氏が安易にロシアに都合の良い形での終戦を模索すれば、将来に大きな禍根を残すことになるだろう。
中東危機も同じだ。ひたすらイスラエルを擁護するだけの態度は許されない。イスラエルによるパレスチナ人虐殺は、ハマスによるイスラエル奇襲攻撃の残虐性をすっかり見えにくくしてしまった。
トランプ氏は、イスラエルは神が与えたユダヤ人の土地、と信じるキリスト教福音派の奇天烈な主張に殉じて、イスラエルを擁護しつづけるべきではない。
もしそうすればアラブ諸国のみならず世界の大半の人々がイスラエルへの怒りをさらに募らせ、ひいてはユダヤ人全体への憎しみが増幅されていくだろう。
弱者のパレスチナ人の背後にはグローバル世論が寄り添っている。ガザの住民は今は無力でも、将来は国際世論に支えられて必ずユダヤ人への意趣返しを試みるだろう。
多くの欧州の国々も歴史の憂悶に惑わされてパレスチナを突き放し続けるべきではない。イスラエル擁護一辺倒の政策は見直されるべきだ。
パレスチナを賛助する姿勢は、イスラエルを突き放すように見えるかもしれない。
だが実はそうした施策は、ユダヤ人が将来再び被る可能性が高まっているようにさえ見えてしまう、新たなホロコーストの類の惨劇を避ける意味でも極めて重要なアクションである。