一つは、いざとなった時、アメリカが日本を助けるかどうか怪しいとあらためてわれわれ日本人に気づかせた点である。トランプ大統領の沈黙がそのことを雄弁に語った。
アメリカは、自らの利益に資すると判断すれば日本を切り捨て中国と手を組むことも辞さない、とトランプ大統領は態度で示したのだ。
トランプ大統領はいつか政治の表舞台から去るが、彼の思想は決して消えない。将来、たとえ日本に好意的な指導者が現れても、その哲学は彼らの深奥に秘めた意思として生き続ける。
日本にとってアメリカは信用できるが、信用もできない国なのである。要するに中国と同じだ。それが冷厳な実相だ。
今のところ僕を含むアメリカ好きの日本人は、信用度に於てアメリカが中国を凌駕すると信じているだけだ。
二つ目は、日本の国是が台湾は中国の一部と認めていることを、改めて多くの国民に思い出させた事実だ。
1972年の日中共同声明で示された日本の立場を、常に意識していた日本国民はそう多くないのではないか。明らかに意識していなかった者の1人が高市首相だろう。
たとえ意識していたとしても、中国への敵愾心とアメリカへの盲目的な信用またへつらい根性にひきずられて台湾有事発言をした彼女は、世界に向けて自らの無知をさらした。
同時にそれによって引き起こされた賛否渦巻く議論を介して、反高市派の人々を含む多くの日本人が自国の立ち位置明確に思い出した。それは怪我の功名と言っても構わないような出来事だった。
と、思いを巡らせていた1月3日、アメリカ軍がベネズエラに侵攻して、大統領のニコラス・マドゥロと妻のシリア・フローレスを拘束・連行した。
トランプ大統領の意志で執行されたそのアクションはデジャヴ感にあふれた蛮行だった。
ほぼ同じ形でアメリカは1989年、パナマの独裁者マヌエル・ノリエガを拘束した。
またイランやグアテマラやチリなどでは軍事介入やクーデター工作を実行して政権転覆を実現させた。
推測や状況証拠をひもといて見れば、アメリカによる同様の横暴な事例は枚挙にいとまがない。
引っ立てられるマドゥーロ大統領の映像を見ながら、僕はベネズエラと日本を重ね合わせて考えていた。
先に述べたようにアメリカは、自らの利益になると見なせば日本に対しても同様な攻撃を仕掛けかねない。
いや、日本だけではなく、核兵器を保有しない国にはどこにでも同じことをやる可能性がある。トランプ大統領のグリーンランドへの執着やカナダへの食指、またメキシコやパナマへも強欲な触手を伸ばしている事実を見ればいい。
台湾有事と騒いで中国を怒らせた高市首相は、米中の相互経済利益と米中露による世界分割支配構想にとって邪魔、とトランプ大統領が判断した場合、CIAが暗躍して高市政権転覆&首相拘束を実行しないと一体誰が断言できる?

